COLUMN
『幻馬再臨』発売記念コラム―――鳴海アサカと《ペイルムーン》
2019.8.10
8月10日、最新セット『幻馬再臨』が発売されました。
収録クランは、1年前に発売した『最強!チームAL4』と同じ《シャドウパラディン》《ダークイレギュラーズ》《ペイルムーン》《むらくも》となっています。
過去に登場した人気ユニット「モルドレッド・ファントム」や「ルキエ」などのリメイクには、テンションが上がったプレイヤーも多いのではないでしょうか?(私もそのひとりです)
アニメ続・高校生編はクライマックスに向けて走りだしていますが、ヴァンガード甲子園の決勝戦で、伊吹が言ったセリフを覚えていらっしゃいますでしょうか?
「ファイトには、その人間のすべてが表れる……らしいぜ」
櫂が伊吹に伝えた言葉ですが、ヴァンガードはクランや使用する切り札も含めて、キャラクターの人間性が暗示されています。
今回は『幻馬再臨』に採録されたクランから《ペイルムーン》をピックアップし、切り札の「銀の茨の竜使い ルキエ」が暗示する鳴海アサカの人間性を考察してみました。
■鳴海アサカと《ペイルムーン》
まずは、鳴海アサカについて簡単におさらいしましょう。
アサカは、名門・福原高校のヴァンガード部に所属している女性ファイターです。
中学生編では「フーファイター」の幹部としての活動の方が目立っていましたが、高校生編以降は福原の部員たちをまとめる立場での活躍が描かれています。
学年はアイチのふたつ上。実はアサカの年齢設定は、原作コミックスとアニメでずれが生じていました。“オリジン”シリーズではヴァンガード甲子園が「高校最後の夏」という形で落ち着いたようです。
「フーファイター」の総帥、またヴァンガード部の部長であるレンに忠誠を誓って付き従う姿と、部下(部員)である川並ミナミを犬扱いするサディスティックな面も印象的なキャラクターですね。
使用するクランは、前述の通り《ペイルムーン》。
高度なテクニックと派手な魔法の演出で人気を集めている「魔道サーカス」の集団です。しかし華やかな舞台の裏では、冷酷な暗殺者集団というもうひとつの顔を持っています。
使用するアサカも、劇中のファイトでのセリフや挙動に“ショーマン”と“暗殺者”の両方が垣間見えますね。
アサカが使用する《ペイルムーン》は、ヴァンガードの下に置かれた「ソウル」を活用したクランですが、その動きは大きくふたつに分かれています。
「楽屋」に見立てたソウルと「ステージ」に見立てた戦場を行き来する「ソウルからのコール」を重視した動き。盤面が次々に入れ替わる、テーブルマジックのような動きが楽しいです。
実際のカードではこちらの能力が多く、アニメ初期のアサカはソウルを使った連続アタックを「デッドリーシャドウビースト」と称して、得意技としていました。
そしてもうひとつは、原作コミックスや“オリジン”の動き。
コミックスで登場した「アーティラリーマン」「バーキング・ドラゴン・テイマー」「祝砲竜 エンド・オブ・ステージ」などは、ソウルや盤面を派手に消費してゲームを決める、大掛かりなステージマジックのような能力を持っています。
リソースをすべて消費する動きは、時に「次のターンはない!」という思い切りが必要になる、玄人向けの動きです。“オリジン”のアサカは、やや扱いにくいこれらの能力をうまく使っている印象がありますね。
途中までは対戦相手をじっくり追い詰めるアニメ初期のアサカと似たファイトをしますが、勝負所で全身全霊をかける“オリジン”のアサカには、儚さをはらんだ強さが感じられます。
■新たな切り札「銀の茨の竜使い ルキエ」
『幻馬再臨』で登場した「ルキエ」は“オリジン”シリーズ恒例のリメイクユニットです。
初登場はブースター第7弾『獣王爆進』。その後、12弾『黒輪縛鎖』で「ルキエ “Я”」、15弾『無限転生』では「ヴィーナス・ルキエ」へと進化した姿で登場。
Gシリーズでも、超越した姿や同名リメイクが登場し、今回のリメイクで実に7度目の登場となりました。《ペイルムーン》きっての人気ユニットと言えるでしょう。
魔法と鞭でドラゴンを従えるというサディスティックな印象と相まって、鳴海アサカというキャラクターにぴったりのユニットだと、個人的には感じています。
最初に登場した「ルキエ」はコストが重い代わりに、ソウルから味方を大量展開してパワーを大幅上昇できるという「ハイリスク・ハイリターン」のユニットでした。
リメイク後も、やや高コストかつソウルを無尽蔵に放出することができる、ハイリスク・ハイリターンの強さを持っている「ルキエ」。
“オリジン”の派手なユニットたちを使いこなすアサカには、以前よりもさらにハマっているように思えるのは、私だけでしょうか?
■『幻馬再臨』の注目カードたち
ここからは《シャドウパラディン》《ダークイレギュラーズ》《むらくも》から1枚ずつピックアップして考察していきます。
「幽幻の撃退者 モルドレッド・ファントム」
レンの“分身”である「ブラスター・ダーク」を強化する《シャドウパラディン》の切り札ユニットです。
能力は文句なしに強力ですが、アイチが使う「孤高の騎士 ガンスロッド」との対比も面白いですね。
「ガンスロッド」は「ブラスター・ブレード」を直接ヴァンガードにしていましたが、「モルドレッド・ファントム」も「ブラスター・ダーク」が登場するとヴァンガードの力であるイマジナリーギフトを得られます。
ドライブチェックで味方が増える「ブラスター・ブレード」に対して、自身が連続攻撃をして決着をつけようとする「ブラスター・ダーク」……という違いも、興味深いですね。
「深魔幻皇 ブルブファス」
ダークゾーン、そして《ダークイレギュラーズ》には、まだまだ私たちが知らない「大魔王」がいるようです。世界は広い……!
今回の《ダークイレギュラーズ》は、同名カードをソウルにそろえるというテーマのデッキが組めるようになっています。
ソウルの枚数だけではなく、何がソウルにあるか・どのカードが何枚山札に残っているかを把握する必要がありますので、綿密に動きを計算しながらプレイする楽しさがありそうです。
「侍大将 HYU-GA」
忍者集団《むらくも》は、自信家の矢作キョウが使用するクランです。
「HYU-GA」の能力は、すべてのユニットを「侍大将 HYU-GA」に変更するという、唯我独尊的な(?)能力を持っています。
「同じ名前の味方がいる」ことが条件のカードと相性がいい切り札ですね。
さらにソウルの条件を満たせば、相手のリアガードをすべて山札に戻し、戦場を支配することもできるのです!
フレーバーテキストの「真の勝者はただ一人!俺様を措いて他にない!」は、まさにキョウの人間性を表していますね。
今回はここまでです。
次回は9月、アニメ新シリーズを交えたコラムでお会いしましょう!
(ライター:神田一)