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COLUMN

『カードファイト!! ヴァンガード』に寄せて

2018.12.4

私は『カードファイト!! ヴァンガード』と言う作品を執筆する漫画家です。

タレントのDAIGOさんのCMや、東京のJR線の列車に広告がラッピングされたりしたものを目にしてくださっているかもしれません。
テレビやネットなどでアニメも放送しています。
そして月刊ブシロードと言う雑誌で自分の漫画を連載していました。

タイトルに「カードファイト」とありますように、この作品はカードゲームを題材としています。
大まかに言いますと、各自の持ったトランプのようなカードの束の中身を入れ換えて対決するトレーディングカードゲームと言うジャンルのコンテンツです。
デパートなどで『遊戯王』や『デュエルマスターズ』もちろん『カードファイト!! ヴァンガード』などを遊ばれているのを見たことがあるでしょうか。

自分の子どもの頃には馴染みのなかった遊びがいつのまにか定番として定着することはまれにあります。
ファミコンや任天堂スイッチなどのテレビゲームやベーゴマが進化したベイブレードなどが代表的でしょうか。
そのなかでカードゲームもこの20年の間に小学生なら確実に一度は手にするであろうゲームコンテンツに成長しました。

元はアメリカ合衆国で生まれた大人のゲームなのですが、日本で子どもたちの間にブームを作り出したのは『遊戯王』と言う作品です。
私はこの『遊戯王』の作者である高橋和希氏に師事していましたので黎明期の子どもたちの熱狂ぶりを間近に見ていました。
当時はテレビゲームの全盛期。
子どもたちはテレビ画面に向かって遊ぶのが当たり前になった頃、顔を向き合わせて遊び、電気を使わないアナログなこのカードゲームが流行しだしました。
いつも同じ反応しかしないプログラムされた相手より、多種多様な対戦相手とのコミュニケーションを伴ったカードゲームが支持されたのだと思います。

今ではこのトレーディングカードゲームの市場は800億円前後の規模があります。
そのなかで 私の作品『カードファイト!! ヴァンガード」は、この市場を作り出し圧倒的なシェアを持つ師の作品「遊戯王」に挑戦し、
新たに生まれてくるカードゲーム作品に対抗しています。
といっても師の広げた両手のなかで遊ばせていただいてるようなものですね。

最近では子どもたちのなかで流行しているものに携帯スマートフォンでのゲーム等もありますが、
カードゲームは子どもたちが大人になり、親になり、数十年先にカードの束が押入れから出てきたとしてもちゃんと遊べるコミュニケーションと共にあるコンテンツです。
いつまでも楽しんでもらえる息の長い「文化」にカードゲームがなれるよう、これからも尽力していきます。

株式会社AKR 代表取締役 伊藤彰